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Channel: Baalchini Global Sports 通信
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最後のフォーミュラニッポン戦

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一昨日(11月5日)、鈴鹿サーキットで、フォーミュラニッポン最後となる公式戦が開催された。僕は、支援する塚越広大選手が日本人として史上最年少でチャンピオンになるその瞬間の立会人となるべく、前日の予選から鈴鹿入りした。フォーミュラニッポンはF3000カテゴリーを引き継ぐ形で1996年から開催され、その間にチャンピオンになった日本人ドライバーは高木虎之助選手、本山哲選手、松田次生選手といったまさに日本人トップといった顔ぶれ。その中に、塚越選手が入るはずだった。菅生を終えて、直接彼と話した時も、最終戦の鈴鹿には絶対の自信を持って臨んでいた。その自信には裏付けがあった。ご存知の人も多いと思うが、ホンダエンジンはトヨタエンジンに比べて燃費が悪いと言われており、給油が必要なレースではプッシュしにくい状況となる。今回は、2レースともスプリントレースで、給油の必要はなく、エンジンの性能を余すことなく引き出せる。加えて、鈴鹿は中高速コーナーの多いレイアウトで、現在のホンダエンジンに向いたコースとされている。さらに、鈴鹿で育ったドライバーが多く参加しているが、その中でも塚越選手は、鈴鹿で開催されていたフォーミュラドリームで唯一、全戦ポールトゥーウィンを果たしたドライバーで、130Rなどの高速コーナーでは最速との自信を持っている。塚越選手は今季、元バイクのホンダレーシングの専属トレーナーで、あの宮里藍選手も指導していた鎌田貴氏の協力を仰いでいる。ドライバーとしてそこまでする必要があるかと葛藤があったというが、やはり、アスリートして頂点に立ちたいという気持ちがそうさせた。僕はこの数年、彼を身近で見ているのでその違いに気づいたが、今期の塚越選手は明らかに、アスリートの身体つきになってきた。それは本人も自覚しており、それを伝えたとき彼は、“自分でも意識しているので、気付いてもらえると嬉しいです”と言っていた。実は昨年から今年にかけても、塚越選手には変化があった。以前は速さはあっても1台体制のHFDPからの参戦で、勝てる体制になかった。本人は口にしなかったが、少なからずホンダに対して不満もあったのではないかと思う。ところが昨年はダンディライアンに移籍し、FNで初めて、勝てる体制でシーズンを過ごし、シリーズを4位で終えた。まだトヨタに比べたら差があるものの、ホンダの環境としては最高のものを手にし、あとは自分がいかに走るかに掛かっていることを自覚した(と言っても、ピット作業など、チーム体制に結果が依存する事実はあるのだが)。そういった環境の中で彼は、焦りがなくなり、レースに対してとても穏やかに自然体で臨めるようになったようだ。周りから見ていると明らかに前年度とは違っており、何人かの人も同じ話をしていたので、おそらく彼の中で、明らかな変化があったのだと思う。そして、今季2戦目で初優勝。遅すぎる初優勝だが、勝つべくして勝った。その後、もう少しはじけると思っていたものの、さすがにつわもの揃いのシリーズ、簡単にはいかなかったが、シリーズリーダーの中嶋一貴選手に1ポイント差まで詰めて最終戦を迎えた。最終戦の結果は敢えて書かない。水曜にメールした時は、いつものように、“頑張ります”とのレスがあり、前述のように、塚越広大選手の晴れ姿を見に、土曜日の朝、鈴鹿に向かった。予選は惜しくもQ1で3位、Q3で2位。ポールを取って欲しかったが、他のドライバーの結果を見ると、塚越選手のシリーズチャンピオンは揺るぎないものに思えた。それは、決勝のレース1を終えた時もそうだった。レース後の彼は、昨年まで見せていたようなくさった様子はなかったが、それが故に、内にこもる無念さが垣間見え、いたたまれなかった。とはいえ、僕自身はレース2とシリーズの表彰式は見なかった。というより、見れなかった。表情は実は、あとでビデオを見たのだった。シーズンエンドパーティーでは、ドライバーが会場を廻り始めてから少したったところで彼が僕ら家族に気付いて、会場中央部の仕切りを飛び越えて、まっすぐにやってきてくれた。まだ吹っ切れないのはわかりつつ、僕は敢えて、来年だな、と言った。彼は気持ちが切り換えられずに戸惑ったような感じだったが、“まぁ、そうですね”と答えた。 JAFグランプリを残しているとはいえ、実質今年のシーズンは終わった。ピットウォークでは、人垣でドライバーが見えなかったのは、あの佐藤琢磨選手と、ダンディライアンのピットだけだった。これだけ人気者になれば、オフも大忙しと思うが、是非リフレッシュして、来年のシーズンを迎えてほしい。ホンダのエースドライバーとして、“あきらめない奴だけが勝つ”というホンダのDNAを体現してほしい。今のホンダに気合を入れてほしい。そして、そこからホンダと塚越広大選手の新たなる旅が始まる。 The Power of Dreams...

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